2019年台風19号の被害少ない山ノ内町

2019年台風19号の被害少ない山ノ内町
落ちなかったふじ 2019.10.13
落ちなかったふじ 2019.10.13

台風19号の被害少ない山ノ内町

台風19号は長野県では千曲川の氾濫などにより、
大変な被害をもたらしました。
りんごが水没している映像がテレビなどで流れているので
全県下そうなっているかと思われるかもしれませんが、
山ノ内町は、それほどの被害はありません。

理由は、山ノ内町は、千曲川より標高差で約250メートル高いので
氾濫しても影響がなかったためです。

被害の出た地区と山ノ内町との違いについて、解説します。

長野県内のりんご産地について

下の図のように、県の北部にりんご産地は多くみられます。
具体的には、山ノ内町、中野市、小布施町、飯綱町、須坂市、長野市、
上田市、安曇野市、松本市、松川町が生産量の多いトップテンです。

長野県内りんご産地地図
長野県内りんご産地地図

山ノ内町のりんご生産量は、県内では6番目です。
一番多いのは長野市、2番目は松本市、3番目は須坂市です。

長野りんご生産量
長野りんご生産量

長野県内の主なりんご産地の平均気温はおおむね10~12℃で、
年間の降水量は、1,000㎜程度です。(県南部の松川町だけ1,900㎜超)

長野県内りんご産地の比較
長野県内りんご産地の比較

役場の標高は山ノ内町が最も高く600mでスカイツリーと同じくらいです。
今回、千曲川氾濫により洪水被害のあったところは、
長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市、上田市、佐久市などです。

これら地区の標高はおおむね350m程度で、
山ノ内町よりは250mほど低めです。

長野電鉄で、長野市から、須坂、小布施、信州中野と乗ってくると、
普通列車は信州中野駅で必ず乗り換えになります。
これは、信州中野から終点である山ノ内町の湯田中駅までは、
距離は6キロ程度なのに標高差が250m近くあるので、
信州中野までの電車では登れないためです。

クルマで来ると中野市から山ノ内町に来るにはずっと登りなので
アクセル踏みっぱなしになります。

長野駅~須坂、小布施、信州中野まで運行の電車:3500系 ↓↓↓

3500系電車 (元営団3000系)
3500系電車 (元営団3000系)

信州中野から湯田中駅まで専用の電車:8500系  ↓↓↓

8500系電車 元東急8500系
8500系電車 元東急8500系

山ノ内町は坂ばっか

山ノ内町は坂ばっか
山ノ内町は坂ばっか

山ノ内町は、農協も、地元の温泉施設も、
プリン屋さんも坂の途中に建っています。
ゴルフボールや、テニスボールを置けば、麓の中野市、千曲川まで
約250メートルの標高差を転がり落ちていきそうな地形です。

千曲川の流れ

千曲川は、山梨県・埼玉県の県境にある甲武信ヶ岳から、川上村、北相木村、
佐久市、上田市、長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市などを
通って、新潟県に入って信濃川となります。

山ノ内町は、上述したようにお隣り中野市からは標高差で250メートル高いので
今回、千曲川の氾濫による被害からは免れました。

長野県内の山と川
長野県内の山と川

今回、水害によりりんごの水没など大きな被害が出た地区は
以下の地図のように、おおむねJAながのの範囲内といえます。
志賀高原ブロックは山ノ内町です。
山ノ内町は標高高いので千曲川の氾濫からは免れた。

JAながのエリア図
JAながのエリア図

千曲川まで流れ込む角間川

山ノ内町内では、
志賀高原から流れ出る角間川と横湯川とが合流して夜間瀬川となり、
およそ250メートルの標高差を千曲川まで流れ込みます。
ほかの地区でも、何本もの河川が千曲川まで流れてあふれたものと
見られます。

台風19号の雨量

台風19号で降った降水量は以下のデータが
明らかになっています。

北相木村 411㎜(千曲川上流部)
佐久市 331㎜ (千曲川が大きく曲がるところ)
鹿教湯温泉(上田市)327㎜(千曲川中流部)

10月19日付け信濃毎日新聞では、以下のとおりです。
10月12日24時間降水量。※は観測史上最多

野辺山 171 ㎜ 
北相木 395.5 ※
佐久 303.5 ※
立科 264 ※
軽井沢 314.5
菅平 270 ※
上田 143
鹿教湯 320 ※

長野 132
聖高原 242 ※
野沢温泉 173.5 ※

これ見ると、長野市や上田市は大したことないように見えます。
が、菅平や鹿教湯、などに降った雨は流れて千曲川に入ります。
上流の佐久や立科の雨もそうでしょう。
だから、その合計が下流の長野市、須坂市、小布施町、飯山市などに
プラスされると考えたほうがいいと思います。

りんご産地と今回のデータが出ている所とは
必ずしも一致しませんが、
年間のおよそ半分から3割近くが2日程度で
降った計算になります。

神奈川県箱根町は1,001㎜超で、
史上最多となっていますが、
箱根町は、もともと年間降水量が
2,500~3,000㎜近くあるのです。

山ノ内町での被害 風による

洪水被害はなかったものの、山ノ内町でもりんごの落果や枝折れなどの
被害はありました。
畑の持ち主から見れば大変かもしれませんが、
浸水被害の地区に比べれば軽微だったと私は思います。

台風19号の風で落ちたシナノスイート 2019.10.13
台風19号の風で落ちたシナノスイート 2019.10.13

台風19号の風で折れたりんごの枝
台風19号の風で折れたりんごの枝

まとめ

山ノ内町のりんご被害は、下流の千曲川沿いの町に比べれば軽微だっといえる。

山ノ内町は、千曲川より標高差で250メートル高いので氾濫の被害はなかった。